私たちが気をつけねばならぬことがある。
それは、問題を「関係」にのみ還元してしまうことです。
これは危険です。
「個体」への還元は近代主義に陥り、「社会」への還元は政治主義になってしまう。
それに対して「関係」への還元は倫理主義を生み出すからだ。
「まこころをもって接すれば、どんな老人にも伝わる」とか、「呆けたのは家族の関わり方に愛情がないからだ」といった言い方が、その倫理主義です。
私たちは、「関係」を変えていこうとする。
だが私たちのとりうる関係は、"関係の磁場"とでも言うべき状況に規定されざるをえないことを知っています。
"関係の磁場"とは、例えば施設の雰囲気、時代や社会など、文化や政治の領域とされるものです。
さらに、人間は「個体」としてしか存在しえず、個体として完結していく世界が厳として存在していることも知っています。
しかし、この「関係」からのアプローチこそ、現場の私たちだからこそできるものであり、近代医療や政治主義の限界をこえていくものなのです。